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巡りくる季節に思う 

20090402183118



ベランダで鉢栽培している吉野枝垂(ヨシクシダレ)が開花した
桜を鉢で栽培すること自体が珍しいのかもしれない
それでも比較的樹高の低い品種を選び植えつけたのが一昨年の冬

そして、今年初めて数輪が開花した
10階の強風や極度の照り返しにも負けずに咲いた花だ

実はこの花は、亡くなった母の為に購入したものだった

いつの日か、足も弱り花見に出ることも儘ならなくなったら
窓の外に咲く花を愛でてほして・・・
そんな思いで栽培を始めた


結果、母は初の開花を目にすることもなく逝ってしまった


暖かな日差しの中開いたその花は
見慣れたソメイヨシよりも更に淡い淡い色で…
見つめる私の目から、不覚にも涙が零れた





母の体を蝕んでいた癌は最終的には小脳へと転移していた。

突然の嘔気と激しい眩暈に苦しんでいた母が、最後に家に帰れたのが亡くなる1ヶ月前・・・昨年の9月の事だった。
もう1人では歩く事も儘ならなかったが、私が肩を貸して1日に数度はリビングに移動し、窓の外を眺めて過ごした。
食欲もなく、嚥下障害も表れていたので、僅かな水分をゆっくりと時間をかけて飲むことしか出来なかった。
記憶力や理解力も日毎に低下してゆく。
それでも焦点の定まらぬ目で、時折猫の名を呼び微笑みかけていた母は、幼い少女のような表情をしていた。
日一日と子供に戻っていく母の、小さくなったその背中を撫でながら、このまま時間が止まってくれたらと心から祈った。

そして、最後にリビングまで歩けた日の事。
私の問い掛けにも的確な反応は殆どなくなっていた母が、力なく寄りかかっていたソファーの背もたれから僅かに頭を起し、窓の外を眺めながらたどたどしい口調で言った。

   「また咲いたねぇ。」

その視線の先には鉢植えの桜があった。
まだまだ幼いその木には、葉こそ茂ってはいるが花は付けていない。
しかし母は枝先に咲く花を・・・幻の桜を眺めながら微笑を浮かべたのだ。

   「そう、やっと咲いたね。 来年はもう少し花も増えるよ、楽しみだね。」


私の答えに母は満足そうに頷いていた。


それが私と母との最後の思い出だ。
2週間の自宅介護を終え、再び入院してから1週間あまりで母はこの世を去った。

   「ありがとう、もう頑張らないでいいよ。」



私の言葉は母の耳に届いたのだろうか?

 
 
 


 
[ 2009/04/09 01:11 ] 日記 |








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